第三回公判の報告
2012年8月26日の昼下がり、京都市左京区の京阪出町柳駅前、京都市による自転車撤去に対し、抗議したA氏*1が公務執行妨害で逮捕された。
逮捕後は取調べを完全拒否。勾留10日間満期後に起訴され、公判三回を経て、11月22日やっと保釈。
詳細は以下の記事もご覧ください。
●事実経過と「ダチかえせ」救援会の見解(2012年10月14日現在)
●ピクニック打ちこわし事件 第一回公判(2012年10月10日)報告
●事件の背景 〜一つの検察提出証拠より
●ピクニック打ちこわし事件 第二回公判(2012年11月1日)報告
第三回公判の報告です。
傍聴にはA支援で30名ほど駆けつけてくださいました。ありがとうございました。
今回は市側と見られる人も少なく、全員傍聴いただけましたが、またしても再入廷禁止でものものしい雰囲気。トイレも行けない、拍手もやめなさいと言われる、ケータイ禁止、裁判官への質問は回答義務なし。管理されまくって居心地悪すぎですね。
弁護人からの質問
被告人質問は、まず弁護人からの質問にこたえる形ではじまりました。
- 自転車撤去について
8/26にピクニックをしている最中に自転車撤去に遭遇したことをこたえ、撤去へ苦々しい気持ちを抱いた理由や、これまでも自転車撤去への抗議はしていたことの理由を訴えました。
自転車が貧乏人の移動手段であること、駐輪所はいつも満杯、あっても有料、置くとこがなくやっと置いたところで持っていかれ、返還を求めたら返還料でまたお金、このまちに自転車を置きたければ金を払え、さもなくば強奪するぞということではないか、自転車撤去が貧乏人の移動の自由を奪う貧乏人への差別政策であることを切々と述べました。
また、美観を理由にされていることで鴨川条例との関連性も指摘しました。
さらに、当日の市職員の対応のひどさ、どなりつけることやこいつの言っていることは無視してよいと言ったこと、話を聞かなかったこと、下請けと偽ったことなども供述しました。
- 市章、荷台
肝心の公訴事実とされた二つの行為については、細かく質問がされ、裁判官からも何度も質問が飛びました。
市章を指さしつまんだ行為については、市章の場所、つまんで強く上下左右に動かしたかどうか(もちろんNOですが)、市章とともに下の皮膚や筋肉をつまんだか(これもNO)。
物理的な有形力の行使とは言いがたい状況であったことを示す質問回答でした。
二点目に、作業員の持っていた自転車の荷台を上からおさえ手をかけた行為についても、細かく質問が飛びました。手をかけたとはつかんだなのか、荷台をひっぱるとか、おさえつけるとかしたか、それ以上に力を加えたか、等です。
この点については、撤去で前に進んでいる人を止めようとしているのだから進行を止めはしたが、うしろにひっぱったりおさえつけたりするなどそれ以上の力の行使はしていないと供述しました。
ハンドルなど自転車の前方が作業員にあたったかとの質問には、わからないとの答えでした。
傍聴した者としては、自転車の荷台を上からおさえたのは自転車そのものへの行為で、公務員に向けられているわけではないという風に感じました。
総じて公務員に向けられた有形力の行使にはあたらないとの立証がされました。
検察官からの質問
検察官からの質問は、お決まりの反省を訊く質問。そもそも反省を示さないことが厳罰につながることも問題ですが、無罪を主張している人間から反省を示すのは無理があるのでは... ここでの態度が影響することは解せません。
裁判官からの質問
裁判官からの質問は、自分(A)の話を聞こうともしていない下請け(強調)の人間に抗議しようとしたのはなぜかという点に集中しました。
抗議の声を聞かないことへの抗議という点を強調しての回答になりました。
下請けではなく、京都市の(嘱託)職員への抗議なのですが、裁判官の目には嘱託の方がどううつっているのかという点も気になりました。
現場の人間に抗議しても施策には影響がない、抗議しても仕方がないとお思いなのでしょうか。決めるのは現場の人間にはあらず、とでも...?
せまい歩道の上で下請けといわれてしまうしがないかもしれない作業員との対立をのぞんでいるのではなく、むしろ対立をうみだしている構造を大局的に考えたいと思っています。
しかし、もし仮に裁判官の目線が下請けといわれてしまう人たちへの蔑視もあるのであれば、やはり対立をうみだしているものへの怒りがわいてきます。
ほんとに茶番です。
*1:当初S氏としておりましたが、カンパの口座名と紛らわしいので被弾圧者の名称を今後はAとします 2012.10.18